第3話 承平・天慶の乱
晴明は忠行の推薦で陰陽寮に入ることができた。代々陰陽家の出身ではない彼は生徒になることはできず、雑用係から始めることになった。
承平八年(938)四月、都で大地震が起こる。陰陽寮が吉凶を占った結果、兵革の兆しだった。この頃、東国では平将門、西国では藤原純友が兵乱を起こしていた。その後も、数ヶ月に渡り天変地異が止まなかった。陰陽寮は災いの度に吉凶を占うので、晴明と保憲も多忙を極めた。
白雪は成長して上仙になっていた。冥府の裁判を見学した彼女は、衆生の沈淪を嘆く。曲がったことを嫌う彼女は人々の些細な過ちも見逃さなかった。その結果、裁きにかけられる罪人が増えて冥官たちは疲弊した。
同年十月、暦博士大春日弘範と権暦博士葛木茂経の間で翌年の暦本を巡って議論があった。茂経の暦本が採用されたものの、朝廷との行き違いにより、毎年十一月に行われる御暦奏が遅れた。陰陽寮は朝廷から始末書の提出を求められるが、暦家たちは過ちを認めない。そこで、晴明が彼らに代わって始末書を書く羽目になってしまう。
冥府では、泰山府君の許に冥官たちから罪人が多すぎると苦情が寄せられていた。泰山府君はどうすべきか思案を巡らせる。
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