第2話 「コンセプトカフェ マジカルプリティドーム」

「秋葉原うえすぎ内科」で働き始めて半年になる。


初期研修、後期研修を同じ市中病院で終えた後、内科専門医を取得し、


そのままこの「秋葉原うえすぎ内科」に就職した。


急性期病院での経験も糧になったが、度重なる当直に体がついていけず、


クリニックをメインに働くことにして就職活動をしていたところ、


秋葉原うえすぎ内科の院長、上杉謙一に拾われたというわけた。


上杉謙一は都内に多くのクリニックを開院しているやり手の医師兼経営者だ。


都内の各分院で最低週1日は自分の外来を持っている。


私は縁あって週に3日、この分院の一つである秋葉原うえすぎ内科の一般内科外来を任されていた。


市中病院を半ば逃げるようにして辞めた身ではあり、雇ってもらえるだけでも相当にありがたかった。


これまでは杉並の病院を拠点に生活していたため、秋葉原をメインにした生活は当初は慣れなかったが、


自分がサブカルチャー好きであることも相まって楽しく過ごせている。


秋葉原といえばやはりコンカフェで、うえすぎ内科の裏にあるこの「コンセプトカフェ マジカルプリティドーム」もその一つだ。


私が秋葉原に来る日は概ねこの「コンセプトカフェ マジカルプリティドーム」でブランチを食べて出勤している。


コンカフェは男性客が多いが、最近は女性客で入っている人も多く、


「コンセプトカフェ マジカルプリティドーム」は特に女性客が多いと聞く。


キャストが皆良い子で、それが評判に繋がっているようだ。


接客してくれたまほよさんの出勤日は、私が秋葉原に来る日と重なることが多く、


この半年彼女とは割と仲良くさせてもらっている。


「ゆきちゃんせんせーに♡心をこめて♡マジカルプリティビーム♡」


まほよさんのマジカルプリティビームが今日も炸裂した。


「あ、ありがとうございます」


「ふふふ、ごゆっくり!」


まほよさんのウインクが仕事前の私の心を癒やす。


トーストとコーヒーはいつものマジカルプリティビームの味がした。

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