秋葉原のおいしゃさん!

沖伸橋

1章 マジカルプリティドーム

第1話 診察のまえはコンカフェから

いらっしゃいませご主人様〜♡お嬢様〜♡


甘い声が店内に響いた。ちわーっと小さな声を出して会釈して席に座る。


「あー!ゆきちゃんせんせー!最近来る回数多くないですか?暇?」


水色のふりふりのコスチュームが水とおしぼりを持ってくる。


「そうかもしれないです」


苦笑しながら眼鏡の位置を整えた。


朝11時からやっているコンカフェはここだけで、出勤前にコーヒーとトーストだけ食べるのが最近は習慣化していた。


「せんせーはいいですよね、働くの昼からだし。あとお金持ちだし!?だからこんなにうちに来るんだ」


ジト目でぷくーっと頬をふくらましてこちらを見つめてくる。いちいち仕草があざとい。


「私は医者の中じゃ稼いでないほうですよ、職場も選べる立場じゃないです」


「ふーん。まぁ私はせんせーがきてくれてうれしいですけどっ!」


ぶりっ子っぽいポーズを取ると、ニヤリと笑う。


ああ、あざとい…ッ、眩しい…ッ。


改めてみてみるとその姿はガーリー、フェミニンそのものだ。


魔法少女風にアレンジされたメイド服。


胸元には変身アイテムをモチーフにした大きなブローチが輝く。


フリルスカートから出たふとももが眩しい。私には到底着れない代物だ。


「せんせーいつものやつ?コーヒーとトースト?」


「あ、はいお願いします」


「わかりましたお嬢様♡おまちください♡」


軽く会釈。


はぁ、まほよさん、かわいい、尊い。

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