2日目

 ◆ 2日目:6時 【固定A:新市街地】 ◆


 無事に朝日を拝むことができた。HPが微妙に回復しきっていない(18/21)が、〈救命草〉を使うほどでもないので、このまま今日の活動を開始。


 神殿市場へ戻る前に、冒険者ギルド以外にどんな建物があるのか、市街地を少し散策していくことにする。

 まず、街の南にある……というか、ツィスカがやってきた場所である船着き場。ビスクーネ河を渡してくれるだけでなく、【固定B:西街区】への移動も行える。

 たった3ブロック先の街に、どうしてそんな移動経路が用意されているのかと言われれば、


「街の門のすぐ側に、魔神がたむろしている?はぁ……退治されていないということは、そこそこ手強い子なのかしら」


 微かに記憶に残っている情報によると、たしかレベル3だか4だかの魔神との固定戦闘がある。流石に今のステータスで勝てるとは思っていないので、西街区に向かいたい場合は、ここでゴンドラに乗せてもらうしかなさそうだ。


 次に、街の北に堂々とそびえる城塞、モルガナンシン城。このヴァイスシティを支配する四人の実力者のうちの一人、"深雪の"ユイニーが団長を務める、黒剣騎士団の本拠地だ。

 北門から街を出たい場合、この騎士団の活動に貢献し、実力を認めてもらう必要がある。やはり今のところ、特に必要性はないが。

 貢献というのは、具体的にはクエストをこなせばいいらしい。この場所でしか発行されていなさそうなものもいくつかあるので、ひとまずメモしておく。


 最後に、大通り、もとい商店街。時間消費なしで買い物できるみたいだ。

 ギルドがあることも踏まえると、なるべくここに戻ってきて精算と買い物を済ませる、というのが、綺麗なローテーションになりそうか。


 確認を終えたところで、何度目かの亡者亭へ。今日の分の食事と、ついでにミッションの確認もしておくか。


 ◆ 2日目:7時 イ-B【34:死にたがりの亡者亭】 ◆


 今日も10Gを支払い、カウンター席へ。その隣へぬるりと滑り込んできたボルドーから、依頼を紹介してもらう。

 今日は『ミッション23.行方不明者捜索』。D66で決定されたランダムなパラグラフへ向かい、行方不明者の捜索・護衛を行えというもの。

 目的地は(コロコロ)【36:時計塔屋敷】。運良く知っている場所だし、安全だと分かっている場所だ。この後寄っていくか。


 やることも済んだので、そのまま流れるように次の場所へ。


 ◆ 2日目:9時 イ-A【56:ミルタバル神殿市場】 ◆


 住民証を持ってきたので、今度こそ盗賊ギルドへ入会する。

 地味に嬉しい特典として、情報収集の判定に+2のボーナス修正が入るらしい。さっき受けた行方不明者捜索はもちろん、今後も頻出しそうな判定なので、これはありがたい。


「で。入会したうえで情報料、ですわよね。はぁ……」

「や、どうも。それで、エドワードでしたっけ?あの人なら、茨の館ってとこに住んでますよ」

「館……それなりにいい身分の方、なのかしら」

「さてね。素性については、正直あまり詳しくないもので」

「……それでよく、300ガメルも要求できたもんですわね」


 ここまで足元を見られていると、いっそ清々しい気持ちである。

 ともあれ、無事にエドワードの家を確認できた。その場所は(コロコロ)(パラグラフ配置:【66:茨の館】→ア-B)すぐ目の前か。主要施設が街から出てすぐの場所に揃っているのは非常にありがたい。


 それでは、そのまま館へ向かうとしよう。亡者亭でやることは特にないので、通過のみとする。


 ◆ 2日目:11時 イ-B【34:死にたがりの亡者亭】(移動のみ) ◆

 ◆ 2日目:12時 ア-B【66:茨の館】 ◆


「その名に相応しい、美しい庭ですわね……一般人が立ち寄って良い場所ではない、という雰囲気ですわ」


 白い薔薇で彩られた生け垣に囲まれた、あまりにもこの街には似つかわしくない瀟洒な館。四人の実力者のうちの一人の家にすら思える。

 が、ゲームブックの説明によると、別にそんなことはないらしい。するとユイニー以外の三人も、城だの砦だのを構えている感じなのかな……


「もし、そちらのお嬢様。申し訳ございませんが、当館は無関係な方の立ち入りはご遠慮願っております」


 見事な庭と外観を眺めていると、執事の男に声をかけられた。燕尾服の上からでも分かるほどに鍛え上げられた身体は、ただの執事ではないことを物語っている。


「失礼。こちらの館にお住まいの、エドワードという方から手紙を受け取りまして。その返事のために、お伺いさせて頂いたのですけれど」

「む……私がそのエドワードですが。失礼ですが、その手紙というのを見せていただいても?」


 その執事、エドワードに件の手紙を渡すが……それでもまだ、訝しげな表情を保ったままだ。


「確かに、これは私が書いたものだ。しかし、君がその弟子だということは、簡単には信じられないな」

「それはまぁ、無理もない話ですわね。まだまだお師匠様の足元にも及ばない、ひよっこ同然の魔女ですもの」

「そうだな。あいつは恐ろしく優秀な魔法使いだった。しかし、亡くなってしまった以上は、代役を見つけるしかないのも確かだ」


 結論として、自身の実力、そして師匠の弟子であることの証明のために、ひとつ試験を受けることになった。

 この館で働いている侍女のひとり、メアリーを連れて、この街から二日ほどの距離にある町まで、護衛として同行して欲しいとのことだ。ただしそのためには、どうしてもビスクーネ河を渡らなければならない。


「メアリーの分は用意できるが、君の分は……ま、そこまで含めて試験ということで、まずは許可証を手に入れてから戻ってきてくれ」

「許可証……たしか、冒険者ギルドで発行してもらえるとかなんとか、河を渡っているときに聞かされた記憶がありますわね」


 渡河許可証を発行してもらうには、ギルドに〈剣のかけら〉か〈アビスシャード〉を合計で15個納品する必要があるらしい。結構多いな……ウルフと賊から剥いだぶんで3個持っているが、これで1/5ということは、貯まるのはしばらく先になりそうだ。


「他に方法は?あまり長く待たせるのも失礼ですし、手っ取り早く済むものがあるのであれば、そちらを試しますわよ」

「他だと、確か……西街区にいるチェザーリから買うか、船乗りの協会で発行してもらうかだな。協会がどこにあるかは、あいにく聞いたことがないが」

「では、チェザーリさん?からになりそうですわね」


 西街区へ行く理由、意外と早くできたな。まぁ固定配置の拠点という時点で、なにかしらストーリーに必須のイベントがあるんだろうと分かってはいたが。


 しかし、370Gしかない現状のまま直行するのもなんだ。技能の成長や買い物のことも考えて、いくらかミッションやクエストをこなしてから新市街地に戻り、ゴンドラに乗り込むことにしよう。

 ついては、ミッションが2つこなせる【36:時計塔屋敷】を目指して、亡者亭の北へと進む。(パラグラフ配置:【41:常夜紅城】→ウ-B)


 ◆ 2日目:14時 イ-B【34:死にたがりの亡者亭】(移動のみ) ◆

 ◆ 2日目:15時 ウ-B【41:常夜紅城】 ◆


 二日目の昼にして、初めてのランダムイベントの時間だ。1dして1~4なら何かしら起こる、5,6は何もなし。詳細なルールは……説明すると長くなるな。かなり昔の作品だけど、今遊んでも楽しいと思うので自分で買って確かめてください(投げやり宣伝)。

 今回は(コロコロ)[探索判定:目標値10]に成功すると、獲得物をひとつ拾える。そう言えば獲得物も初めての概念か。

 要するに、売却専用アイテムを簡素化したしたものなので、あまりゲーム進行に影響は与えない。……が、たまに呪いが掛かっていることがあるらしい。そして今回は、必ず呪いの獲得物になるそうな。

 とりあえず、そもそも拾えるかどうかから確かめよう(コロコロ)(失敗)はい。まぁ出目8要求なんてこんなもんよな。


 気を取り直して、パラグラフの内容。建物を積み木のように重ねて造られた、歪な町並みの中に、人族と蛮族が入り混じっている。半々くらいの割合だろうか。


「魔神が跋扈しているくらいですもの、そりゃあ蛮族だって、大手を振って歩けますわよね」


 あまり長居したい場所ではないが、この人混みを何事もなく抜けられるかは運次第のようだ。今度は2dで内容を決定し(コロコロ)何も起こらないんかい。


「向こうの方は……なんだか騒がしいですわね。歓声と怒号が飛び交っているのが聞こえますわ」


 少しだけ街中を探索すると、大きな酒場と、地下に作られた闘技場を見つけた。

 酒場を覗いてみると……なんというか、普通の街にあったら国からしょっぴかれそうな雰囲気だ。様々な種族の、かなり際どい衣装の踊り子たちが、妖艶なダンスを中央のステージで披露している。

 かと思ったら、客の何人かは踊り子に声をかけ、店に大量のガメル(1000G)を支払うと、そのまま踊り子と二人きりで、二階の個室へと姿を消してしまう。

 そして、「8時間までの任意の時間を経過させること」という記述。それ以上の描写は書かれていないが、たぶんそういうことをしているんだろう。


「ここで働くのは、死んでも御免ですわね……闘技場はどうかしら」


 地下闘技場では、街の主であるドレイクの男、ナグーザーバラが観戦席に座っているのが見える。あいつを倒せ、というクエストをモルガナンシン城で見かけたが、流石にレベル1で喧嘩を売るには強すぎるな。

 もちろん、ここは基本的には、普通の魔物との戦闘を行う場所である。倒した魔物に応じて賞金をもらえるし、3勝ごとに★も1つ付いてくる。


「飛び入り参加歓迎、命知らずなら尚良し。……ま、一戦くらいやってみてもよさそうですわね」


 相手次第では1000Gももらえるし、ボス敵が出るので〈剣のかけら〉も入手できる。願ったりかなったりの施設だし、少しやっていこう。

 さっそく、対戦相手の決定と遭遇表を(コロコロ)(コロコロ)一戦目は〔サーベルフッド〕になった。余裕そうだな。


 †  †  †


 魔物知識判定は知名度止まり、先制はこちら側。

 相手の命中は4(11)とそこそこ。しかし回避力が2(9)しかないので、何も考えずにぶん殴ったほうが早そうだ。

 結果、相手から3ダメージ受けてこちらの勝利。まずはファイトマネー500Gと、剥ぎ取りで10G分獲得。


 そのまま二戦目、お次の相手は〔匪賊の雑兵〕。また会ったね。


 先制は再びこちら。こいつはそこそこ手強いので、今回も【デモンズアーム】での補強から入ろう。

 戦闘結果は、4ダメージ受けての勝利、400G獲得。剥ぎ取りは何もなし。

 もうちょっと防護点が欲しいので、次に買い物できるタイミングで〈カイトシールド〉を仕入れるとしよう。それと、そろそろ魔神召喚用の供物とかも。補助動作で済むし、MP効率だけで見るなら【デモンズアーム】よりも強力だ。


 三戦目からはナグーザーバラが登場する可能性があるし、そうでなくとも、HPの消耗的に負ける可能性が充分ある。

 そして時刻は18時、夜になって視界も悪くなる。ここが潮時だろう。


「時計塔屋敷は……もう少し先ですわね。休憩したら、出発しましょうか」


 ここから屋敷までの1パラグラフで事故って死ぬのは嫌なので、おとなしく〈救命草〉を使用。9点回復してから先へと進む。(パラグラフ配置:【13:始祖神の大神殿跡】→ウ-C)


 ◆ 2日目:20時 ウ-C【13:始祖神の大神殿跡】 ◆


 ランダムイベントの処理から。今回は、貧相な男にガラクタを売りつけられる。

 ……なんかここだけ聞くと、つい先日リリースされたWizの新作みたいな内容だな(RPGの始祖だけあっておもしろいです)(雑宣伝)


「な、なぁ。そこの嬢ちゃん……何も言わずに、この袋を100ガメルで買ってくれねえか」

「……はぁ。袋の中身も見せずに売ろうだなんて、この街には常識を教えてくれる場所が無いんですの?」


 とは言いつつ、50%以上の確率でかなりの得をできる賭けだし、その賭け金も100Gなら安いもの。受け取り、中身を確認してみる。

 結果は(コロコロ)売価700Gの筆記具。お高めの万年筆とかだろうか。


 続いて、パラグラフの内容。そういえば、クエストでこのパラグラフの名前を見た記憶があるが、さて。


「ライフォスの神殿……だったもの、ですわね。風化して尚、その美しさを感じられますわね」


 倒壊した巨大な大理石の神殿が、生い茂る草木に埋もれている。

 中を調べることもできはするようだが、長引くと屋敷に辿り着いた時点で日付が変わってしまうかもしれないし、夜間に戦闘はしたくない。明日以降調べることにして、ここはスルーしておくことに。


 ◆ 2日目:22時 ウ-D【36:時計塔屋敷】 ◆


 中央に大きな時計塔を備えた、古びた木造の屋敷。エドワードがいた茨の館程ではないが、ここも立派な庭が広がっている。


「御免下さいませ。依頼を受けて、市街地からやってきた者ですけれど」

「あら、新人さん?それも依頼ってことは、通り魔の件かしら。どうぞ、まずは中に入って頂戴」


 扉をノックすると、黒髪ポニーテールのナイトメア、ティエラに迎えられる。

 ここは冒険者ギルドが経営している、新人向けのアパートメントらしい。ティエラは大家であるそうだ。


「もっとも、この街の新人さんはすぐに死───いえ。辞めちゃったり、帰ってこなかったりだから、今部屋を貸し出しているのは、一般の方ばかりね」

「……前半部分は、聞かなかったことにしておきますわね。ところで、空き部屋はありますかしら。依頼もいいですけれど、泊まれる場所も探していまして」

「えぇ、空き部屋ならふたつ。家賃は一ヶ月あたり300ガメル、食事は各自でご自由に。お風呂は無いけど、体を拭くためのお湯くらいなら、無料で用意できるわ」


 毎回市街地か西街区まで戻るのも大変だろうし、なにより今日ここで泊まっていきたいので、契約して部屋を借りることに。

 それからしばらく、現在の屋敷の住人についてを教えてもらう。


 宿泊用の部屋は1号室から6号室まであり、5号室と6号室が空き部屋。ツィスカが契約したのは5号室の方だが、おそらく違いは特にない。

 1号室にいるのが、老エルフのマーシア。人当たりが良く、そして恐ろしく話が長い、世話焼きが趣味のお婆ちゃん。

 2号室が、人間女性のミニー。娼婦をしているが、内気な性格の自分には合っていないと感じていて、転職を考えているらしい。息子のピーターも一緒に泊まっているそうだ。

 3号室は、マッドサイエンティストのタビット、サイモン。ギリ合法くらいの危ない薬の研究をしており、もしかすると実験に付き合わされるかも、とのこと。

 最後に4号室、元鉱夫のドワーフの爺さん、ギル。今はただの飲んだくれをしていて、酒に付き合ってくれる人を探しているらしい。


「個性的な人が揃っていますわね。……さて。ではそろそろ、依頼の話を聞かせて頂きますわね」


 住人について理解したところで、通り魔のミッションの確認に進む。


「えぇ。犯人は多分、ボルグだと思うわ。それに手下が数匹。現れるのは、丁度今くらいの時間帯ね」

「ということは、だいたい日没後あたりが活動時間ですのね。……ふぁ……睡眠時間を調整しますので、明日対応、ということにさせて頂いても?」


 いろいろと話を聞いて、現在時刻は0時を回ったところ。今日も今日とて、ギリギリの睡眠で次の日を迎える流れである。

 光源問題を解決してから退治に向かうものとして、就寝からの中断の前に、それぞれの住人の詳細を確認するか。


 1号室から4号室までに住んでいる住人たちと会話するには、当然ながら、彼らが屋敷にいるタイミングでないといけない。マーシアは6時から20時まで、ミニーは14時から16時まで、サイモンはいつでも、ギルは9時から24時までだ。


 マーシアに会いに行くと、お茶とお菓子、そして1~3時間のお喋りを振る舞ってもらえる。HP・MPの微回復と食事を済ませることができるが、たぶん世話になる機会はないと思う。


 ミニーは、『[❤16]にチェックがあるなら、亡者亭の女給に転職しており~』と説明文にあるので、おそらく情報収集の結果教えてもらえる女給候補が彼女なんだろう。もちろん、適切なイベントフラグを消化していないと意味がないため、今すぐに会ったとしても何も起こらない。


 サイモンは、怪しい薬の被検体になることを依頼してくる。というかそれしか書いてない。とんでもねえ奴だ。

 薬の効果についてまでは、流石に実際にクエストを受けたときに確認しよう。


 最後、ギルは【51:つながれた浮遊岩】で働く鉱夫だったらしい。浮遊岩、コルガナの方にもあるんだな。

 彼から情報収集を行うと、浮遊岩にある隠し通路を教えてもらえるそうなので、向かう際は話を聞いてからにした方がよさそうだ。


「……あ。行方不明者の目撃情報についても、明日訊かないとですわね」


 明日からはやることいっぱいありそうだなあ、と呑気にベッドイン。

 まずは、★を稼いで二回目の成長処理に入るのが目標だ。

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