トロヤ・イースト/トロヤ・ウェスト

(SG4-1 小説の後ろに付けていた設定を転載し、一部加筆)

【概要】

トロヤ・イースト/トロヤ・ウェストは両者とも、鉱山資源となり得る

小惑星の軌道をコントロールして設置した場所であり、その小惑星鉱山

を開発するための人々が暮らす宇宙コロニーが建設されている宇宙域。


のラグランジュ・ポイントL4 がトロヤ・イースト

ラグランジュ・ポイントL5 がトロヤ・ウェストと呼ばれている。



【説明】

宇宙開発が進み、月面の居住設備や周囲の宇宙コロニーの建設のために

膨大な資源が必要になると、様々な鉱物を含む小惑星を鉱山として

開発することが検討された。


数年後に地球の公転軌道を通過する予定の小惑星が発見され、

金属鉱石などを多く含む小惑星だと確認されると、それを鉱山として開発

する計画が検討される。


小惑星に多数の巨大推進機を乗せた無人輸送船と、作業者を乗せた旅客船

を向かわせ多数の推進機器を小惑星の表面に取り付けて、ゆっくり軌道を

調整して、地球の公転軌道に安定させるという大規模なプロジェクト案が

採用されることにり、主星を太陽、伴星を地球とした

ラグランジュ・ポイントのうち、安定性の高いL4とL5がその場所

として選ばれ、大規模なプロジェクトが行われた。


のラグランジュ・ポイントではなく、

L4とL5が選ばれたのは、小惑星を移動させる計画に何らかの不備が

あって、万が一月や地球に落ちるようなことがあると、人類滅亡にも

つながるため、近距離の利便性よりも安全を重視をした結果であった。


太陽、地球、そしてトロヤ点を結ぶと正三角形になるということは、

地球からL4,L5までの距離は、地球と太陽との距離に等しく、

その距離は約二年二か月の周期で地球に接近した時の火星との距離よりも

遥かに遠い。


しかし宇宙移住の拡大のために膨大な資源が必要であり、そのための

小惑星鉱山を安定して設置できるため、その周囲には鉱山開発に携わる

人々が暮らす宇宙コロニーが多数建設された。


月を含む地球圏以外では、火星の次に人口の多い宇宙移住先となった。

そして地球の公転軌道において、地球より先行して太陽を回る

L4ポイントはトロヤ・イースト、そして地球を追従するように

太陽を回るL5ポイントはトロヤ・ウェストと呼ばれている。



【トロヤ・イースト/トロヤ・ウェストの資源の所有権の扱い】

世界政府はその樹立当時から、資源の争奪による宇宙紛争ぼっ発の

反省を踏まえ太陽系の全ての資源を人類共通の財産としている。


このため、太陽系の全ての資源は、発見者や採掘者のものとして

自由に所有・販売するのではなく、世界政府が標準取引価格で鉱物資源を

買い取るという仕組みを取っている。


さらにトロヤ・イースト/トロヤ・ウェストにおいては、太陽-地球系の

ラグランジュ・ポイントL4/L5に、小惑星を運ぶ事業や、

そこへのコロニー群を建造するにあたり莫大な費用がかかり、それらは、

地球圏の人々が世界政府に収めた税金から出されている。


よって、採掘された資源についても、所有権は世界政府にあり、

トロヤ・イースト/トロヤ・ウェストの市民に支払われるのは、

採掘や資源の加工作業という『労働』に対しての対価としての買取価格が

設定されているだけである。



【トロヤ・イースト/トロヤ・ウェストの人々の暮らし】

トロヤ・イースト/トロヤ・ウェストの宇宙域の人々は、その発達の経緯

から鉱山労働者が多く、地球圏の人々に比べて低所得者層の比率が多い。


また地球圏でしか製造できない医薬品や工業製品、精密機器などは、

長距離輸送のコストがかかるため物価が高い、さらに水資源がないため

遠く木星から運ばれる燃料水を高い金額で購入しなければならないという

大きな経済格差を生じている。


このため、豊富な資源の産出地でありながら、その恵みにより裕福な

暮らしができるということではなく、雇われ労働者としての所得以上は

得られなかったため、地球圏中心の考え方しかできない世界政府への

根強い不満がくすぶっている宇宙域でもある。


ジャック・ウィルソン大統領以前の、歴代の世界政府大統領は地球圏中心

の政治を行ってきたため、トロヤ・イースト/トロヤ・ウェストの

定収入&物価高という状況を、『見て見ぬふり』をしてきたと言っても

過言では無かった。


これが、後に『トロヤ・イースト事件』と呼ばれるようになった

<テラ>の世界政府からの独立運動の背景となっている。



【トロヤ・イースト、トロヤ・ウェストの宇宙防衛部隊】

宇宙防衛隊(SG)のトロヤ・イースト部隊はSGTE

トロヤ・ウェストはSGTWと呼ばれている。


もともとSGTEやSTGWのSG隊員地球圏で入隊してこの地に

配属になった者しかいなかったが、SG隊員の不足を補うために数年前

から現地採用も始まりトロヤ・イースト/トロヤ・ウェストそして

火星などでは現地採用も始まっている。


地球圏での採用メンバーと、現地採用のメンバーには身分などの差は

何もないがその育ちの違いから、考え方や地球圏への思いなどに差が

有るのは仕方がないことで自然と微妙な確執がうまれている。

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