第49話
☆☆☆
「ユアン! 私たち、両思い!?」
私はユアンに飛びついた。私は私に戻っていたのだ。
彼は驚きながら私を受け止め、ヴェリルとマクシミリアンさんを見る。
「どういうこと……ですか」
「うん。リゼルさんには伝えたんだけど、君たちに、ちょっとしたおしおきをね」
言いづらそうにするマクシミリアンさんとは対照的に、ヴェリルは偉そうな態度を見せた。
「このくらいのおしおきですんだことを、幸運に思うんだな!
さあ、これで何もかも元通りだ。リリアナは天界へ、盗まれた一分は消化でき、ユアンも反省した。リゼルは巻きこまれただけだが、結果、ユアンと進展したからよかったんじゃないかな?」
一分間の長い魔法は、私に幸せと後悔を教えてくれた。
リリアナがかなえてくれた願いに、二人の魔法使いが力をそえて、私に大切なことを教えてくれたのだ。私は、もう安易に誰かを羨んだりすることはしないだろう。
魔法使いが好きな私は、魔法を使えないけれど、私なりの幸せを見つけていく。
「こんにちは~」
ドアが開いて、クチナシの香りとともに、ルチルさんが入ってきた。
「何か胸騒ぎがして、きてみたんだけど」
ルチルさんにはどこから話そうか。話したいことはたくさんある。きっかけをくれたのは、ルチルさんだから。
「ルチルさん、ありがとう」
「え? 何? 何か大変だった?」
「色々あったんだけど、一段落したところなの」
ルチルさんは目をくりくりと動かして、うなずきながらにっこりと笑った。それからユアンに軽く会釈をして、次にヴェリルを見た。
あ、そういえば、この間、ユアンには会ったけれど、この姿のヴェリルははじめて見るんじゃーー。
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