第48話
「取り返しのつかないことをしたと、反省してもらいたい。もしも、ユアンの気持ちが手に入らなくとも、自己満足にひたることで彼を苦しめるのはいけないことだ」
「せっかく彼の気持ちがリゼルさんに向いているところを、別の方向へ行ってしまいますよ。まっすぐな愛情が一番嬉しいでしょう?」
マクシミリアンさんがちらりと視線をやると、そっちからユアンがやってきた。
「店長、ここを辞めたいんです」
「辞めてどうするつもりだい?」
ユアンはヴェリルを見て、驚いたように目を丸くした。
「先生のところへ……行くつもりでした」
「私が何もしないと言ったら、どうするんだい?」
「リゼルを連れて、旅に出ます。魔法を勉強しながら、力になってくれる魔法使いを探します」
「君は一生を、彼女への救済へあてると言うんだね。それが償い? そこまでしなくてもいいのでは?」
少し意地悪な言い方をするヴェリルに、ユアンは姿勢よく顎をあげて、はっきりとこたえてくれた。
「いえ。それが僕の役目です。僕はリゼルの……婚約者ですから」
ああ、ユアン!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます