第44話

「私の願いはユアンと恋人同士になること。でも、そんなことをリリアナに言うのは気がひけて……」


「ええ、それはかなえてもらう願いじゃないですね。リリアナがかなえなくてもーー」


「それで、とっさに思っちゃったの! ーーえ? 何?」


店長さんは笑いながら、続けてと言った。


「とっさに、私も、リリアナみたいな綺麗なお人形になりたいなって。ユアンに話しかけてもらって、お世話してもらって、ずっとユアンのそばにいたいなって、思ったの」


ユアンが一人のときに何を見て、何を思っているのか知りたい。学校なんか行かないで、一日中ユアンのそばにいたい。

リリアナを失ったユアンは、きっと辛いに違いない。それを私がいやしてあげたい。


それはとてもすばらしい考えのように思えたのだ。私はユアンの幸せのために生きる!


ユアンのためなら。


ユアンのために。




リリアナのような、綺麗なお人形になりたい。




ーーまったく君は……。


ーー困ったお嬢さんですね。


ヴェリルと店長さん、二人の声が聞こえた気がした。


一瞬息ができなくなり、異変を感じたときには、私は、人形になっていた。

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