11 リリアナの旅立ち
第40話
11 リリアナの旅立ち
真夜中ごろ……。
甘い香りで目が覚めた。クチナシの香り……?
窓は閉まっていたけれど、誰かが入ってきた気配を感じた。誰かが、甘い香り運んできた。
眠くてまぶたは重かったけれど、頭はさえてきた。私はベッドの上に起き上がると、淡い光に包まれる人を見た。不思議と、怖いとは思わなかった。
薄暗い部屋の中で、光は少しずつ強くなっていった。うっすらと白っぽい大きなものは、翼のようだった。
長い髪の毛の女の子。天使のようなかっこうをしているけれど、リリアナだとわかった。
人形のリリアナに、本当によく似ている。
「リリアナ……? あなたが、リリアナ?」
こくりとうなずき、女の子はカスミソウのようなイメージの笑顔を見せた。明かりはつけていないのに、はっきりと姿が見える。彼女が、輝いているのだ。
「この町はステキね。ガーデニアの香りが満ちているこのときに、ここにいられたことを嬉しく思うわ」
リリアナの後ろのほうに、ひっそりとたたずむ男性の天使を見た。
「天使になったのね。天界へ行くの?」
「ええ。今までありがとう」
「私、何もしてないわ」
リリアナは首を横に振った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます