第33話
ユアンに助けられたのは、偶然だったのだろうか。あのとき、ユアンのそばにいたリリアナ(の魂)は、私に目をつけたのかもしれない。
それか、私がユアンを好きになることを、わかっていたのかもーー。
「リリアナは天使として迎えられるはずだったから、彼女を見守る天使がガルデニアに滞在している。私と同じように、静観しているようだけどね」
ヴェリルの言葉に、ルチルさんが見た天使かもしれないと思い出した。
「ヴェリル……、それで私は、どうすればいいの? 私はなんのためにここにいるの?」
ユアンとリリアナが両思いだってことを知ったって、もうどうにもならない。私だって、ユアンを諦められない。
リリアナは天界へ行ってしまう。ユアンには幸せになってもらいたい。ユアンの笑った顔が見たい。
「それで、私たちもどうすれば……?」
それまで黙っていたマクシミリアンさんとリビアンが、一歩前へ出た。
ヴェリルは涼しい顔で。
「君たちは巻きこまれただけだ。すまなかったと言っただろう。マクシミリアンはガルデニアでのユアンの保護者のようなものだし、リビアンは……ルチルの息子だから。まったく関係ないとは言えないだろう?」
「なんだ、それ。だったら、なんで母さんがいないんだよ!」
「ルチルには、あとで話してやってくれ。君ならうまく話せるだろう」
リビアンはまんざらでもなさそうに、口の端を上げてみせた。
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