9 異世界へ

第29話

9 異世界へ



「みんなを巻きこんでしまって、すまないね」


ヴェリルは「すまない」と言いながら、そうは思ってもいないような態度で私たちをちらりと見た。


マクシミリアンさんとリビアンは、まったくわけがわからないに違いない。それでも、二人とも神妙な顔をして、この状況を受け入れていた。


「ええと……ここは、ユアンのいた世界ということでしょうか」


と、マクシミリアンさん。


「現在じゃない。過去……?」


と、リビアン。


二人とも、順応性ありすぎる!


私たちは、牧歌的な風景の中にいた。

黄色やピンクの小花が咲き乱れる野原が、ずっと向こうまで続いている。もっと遠くには白い点々が。もしかして、羊かな?


山が迫ってくるようだ。


森の緑が深い。


キラキラと輝いているのは、海のようだった。


知らない場所の知らない景色は、夢を見ているかのように、くるくると変わっていく。


私たちはいつのまにか、墓地にいた。

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