第23話

「僕は……」


ユアンはなんと答えるだろうか。ただの知り合い? それはさみしすぎる!


「僕は……彼女の……」


「残念。時間切れだ」


地面から木の葉が舞い上がったかと思うと、私とヴェリルは包みこまれていた。


ああ、夢は終わるんだ……。ぼんやりと思うと、ヴェリルは笑いながら聞いてきた。


「彼がなんて答えるか、聞きたかった?」


ううん。今はいい。気にはなるけれど。

でも、夢でも「なんでもない」なんて言われたら、もう生きていけない!


「これは夢だよ。でも、夢は偶然ではない。君が彼のことを考えているから、彼が君のことを意識しているから、お互いが夢に出てくるんだ。私は二人の夢を、ほんの少しつなげただけ」


深い緑の空間の中で、私はヴェリルにつめよった。


「ユアンが私のことを意識しているって、ほんと!?」


「彼はまだ無意識だと思うけどね。このまま時間がたてば、彼の気持ちも変化することはないかも知れない。君次第だよ、リゼル」


ヴェリルが遠のいていった。私は明るい光の中へと溶けこむようにしてーー夢は終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る