第22話

大人のヴェリルは、今度は声を張り上げた。


「ユアン、リリアナのことは思い出したのかい?」


私はユアンを見た。葉と葉の間から見えた姿は、リビアンと同じくらいの少年の姿だった。


「変なことを言うんだね。リリアナのことを忘れるわけがないじゃないか。さっきまで一緒にいたんだから。一緒に、勉強をしていたんだよ。……なんの勉強だったかな……」


声に不安を感じとったので、私は出て行った。少年のユアンが私のことを知っているわけはないけれど、これが夢なのだとしたら、私を見て、現実に戻るかもしれない。


「ユアン」


彼は一人だった。お兄さんらしき人はいない。


「リゼル」


突然、彼は今のユアンに戻った。大人の姿に。


「誰?」


ユアンは私の頭上を見ていた。大人になったヴェリルを、不審そうに。


どう説明しようか迷っていると、ヴェリルは自分から名乗った。


「私はヴェリル。リゼルを導く者だ。君はリゼルのなんなのかな?」

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