第22話
大人のヴェリルは、今度は声を張り上げた。
「ユアン、リリアナのことは思い出したのかい?」
私はユアンを見た。葉と葉の間から見えた姿は、リビアンと同じくらいの少年の姿だった。
「変なことを言うんだね。リリアナのことを忘れるわけがないじゃないか。さっきまで一緒にいたんだから。一緒に、勉強をしていたんだよ。……なんの勉強だったかな……」
声に不安を感じとったので、私は出て行った。少年のユアンが私のことを知っているわけはないけれど、これが夢なのだとしたら、私を見て、現実に戻るかもしれない。
「ユアン」
彼は一人だった。お兄さんらしき人はいない。
「リゼル」
突然、彼は今のユアンに戻った。大人の姿に。
「誰?」
ユアンは私の頭上を見ていた。大人になったヴェリルを、不審そうに。
どう説明しようか迷っていると、ヴェリルは自分から名乗った。
「私はヴェリル。リゼルを導く者だ。君はリゼルのなんなのかな?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます