8 再び、盗まれた一秒
第24話
8 再び、盗まれた一秒
学校帰りに中央公園を通って、ルチルさんに会ってから雑貨店『虹色の羽』へ行く。これが私の日課になっていた。
いつもの噴水のベンチにルチルさんはいなかったけれど、リビアンが座っていた。
「母さんは今日は出かけてるよ。君が待っているかもしれないからって、伝えてって言われたんだ」
リビアンはTシャツ、パーカー、デニムという、爽やかな色合いのコーディネートをしていた。やっぱりおしゃれさんだ。
「ありがとう。わざわざ待っていてくれたの?」
「ついでだから。俺も雑貨店にーー」
リビアンは公園の大きな時計を見上げた。思わず、私も見上げる。
四時少し前だった。
急に、肌がざわざわっとした。くるーー!
あのときと同じように、ほんの一秒、時間が止まった。
無音。無風。すべてが止まった、無の世界。
やっぱり、息苦しさを感じた。
リビアンを見ると、彼も異変に気づいたようだった。
「……今の、気づいた? よな?」
さすがルチルさんの息子。私はこくこくと首を縦に振り、なんとか声を出した。
「ルチルさんに聞いてた?」
「話だけはね。本当に、こんなことがあるなんて……」
やっぱり、誰かが一秒を盗んでいるってこと?
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