第20話
☆☆☆
その夜、夢の中にヴェリルが現れた。最初は猫として。そして、すぐに男の子の姿になった。
私は手をとられて、ヴェリルと一緒に歩いていた。
「迷子になると大変だからね、気をつけて」
「どこへ行くの?」
「彼の夢の中へ」
彼って……ユアンのこと?
私たちは暗い中を進んでいたけれど、いつのまにか白い空間を歩いていた。まわりは白からライトグリーンになり、気がつくと、そこは森の中だった。
ヴェリルが人差し指を唇に当てた。黙ってという意味だ。
木々の向こうに、誰かがいる気配がする。
「兄さん、リゼルにプロポーズされたよ。どうしたらいいと思う?」
ユアンだ! お兄さんに、あのことを話してる!
えっ! えっ! どうやって断ろうか、相談してるってこと?
恥ずかしさと後悔で、涙がじんわりと浮かんできた。
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