第19話

「ちよ、ちょっとルチルさん、指さしちゃーー」


素朴な感じの男の子は、服装は地味だけど、なかなかのイケメンさんだった。


「お母さん! 俺の噂話するの、やめてくれる?」


「何も話してないわよ~。偶然じゃない」


え? お母さん?

私は二人を見比べて。


「ルチルさんの、息子……?」


「そうなの。中学二年よ」


彼は「リビアンです」と名乗ったので、私も「リゼルです」とあいさつをした。


アッシュブラウンの髪、瞳は少し濃い茶色だけど、ルチルさんと似ている。


「小さい友達って、この子?」


「そうよ。私たち、気が合うの」


「じゃあ、今度うちにも呼べば?」


「あら、いい考え。じゃあ、リビアンがいるときに」


「俺のことはいいから……。じゃあ、いってきます」


彼は私に軽く会釈をして、そのまま行ってしまった。


「いってらっしゃい」


塾にでも行くのかなと思っていると、ルチルさんは「絵画教室に行ってるの」と言った。


ああ、だからか。汚れてもいいような服装ということか。

ルチルさんはいつも綺麗なかっこうをしているので、息子さんもきっと、おしゃれなのだろうと思ったのだ。


「今度、本当にうちにきてね」


「うん。楽しみにしてる」

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