第17話

「リゼル……何を言っているのかーー」


「返事は今じゃなくていいの! だから考えてみて。私と結婚したら、私のものは共有できるわ。私のものはすべて、あなたのものよ。リリアナだって」


本当は、リリアナの名前は出したくなかった。でも、私がほしいのはリリアナよりも、ユアンだから。

ユアンを手に入れられるなら、なんだって利用するわ。


そうだ。私はリリアナを利用している。買ってもらうのに、クリスマスまでお店に置いてもらうのは、ユアンに会いたいから。リリアナをとおして、ユアンと親しくなりたいからだ。


……私って、いやな子だ。こんなんじゃ、ユアンにあきれられてしまう……。


私は暗い気持ちになって、顔を上げていることができなくなった。


「リゼル、君は何歳?」


「十二歳よ」


「僕は……たぶん、君より十歳以上年上だよ」


「そうね。ユアンは二十五ーーううん、二十四歳だとしても、私より十二歳年上ね。でも、私のママとパパは八歳違うわ。八歳差も十二歳差も、たいして違わないでしょ」


ちょっと……無理があるかしら……。


「……大人になればね」


彼は困っている。彼は優しいから、私を傷つけないように、言葉を選んでくれている。


「……でも、今は君は子どもだ」


「それはしょうがないじゃない。すぐに大人になるわ。だから待ってて」


どうしても諦められない。だって、こんなに人を好きになったことははじめてなんだもの。


ユアンはためいきのようなものを、小さくはいた。


「学校帰りだろ? あまり遅くなると、ママが心配するよ」


拒絶された……? どうしよう。泣きそうだ。


「送って行くよ」


ユアンは立ち上がって、私に手を差し出した。どういう意味?

とまどっていると、手をとられた。


「家はどっち?」


優しい笑顔。きっと、歳のはなれたお兄さんと妹……そんなふうにしか見えないかもしれないけれど、私は泣きたいくらい嬉しかった。

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