第4話

☆☆☆




ラロ家の人々は客間に集まり、リランジュから『旅人』を紹介された。そして、レヴィアスを見ると、みな同じように驚いた。


リランジュの父親ランベルトと母親ミリヤムは、別世界から来た麗しい人物に目を見開いた。使用人の男性一人と女性二人は、口を大きく開けている。


「どこの国の王子かね?」


ランベルトの問いかけに、レヴィアスは苦笑しながら答えた。


「僕はレヴィアス・エル・ファラン。別世界から来た人間です」


「エル・ファラン……。エ・ル・ファ・リンドの民という意味ね」


ミリヤムが、小さく呟きながら遠い目をした。


「なんなの、ママ?」


「昔、お母様が言っていたのよ。エ・ル・ファ・リンドの森は、あらゆるところとつながっている。いつかそこから、旅人がやって来る……って」


五年前に亡くなった、リランジュの祖母がよく言っていたことだ。リランジュも聞いたことはあるが、どうしてか、はっきりとは覚えていない。

それなのに、エ・ル・ファ・リンドという言葉はなんだか懐かしくて、強い光を思い出す。真夏の太陽のような……。


(あれは、誰……? レヴィ? 私は、レヴィに会ったことがあるの?)


見上げたレヴィアスは、真夏の太陽というよりは、真夜中の三日月のような儚い輝きを放っているように思えた。

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