第52話 初夜
今はまだ学生の私達。
一度交わりをもてば、必ず妊娠する宿命。どんなに結ばれたくても世間的には難しい。
触れる唇…深く長く…絡み合うキス。
最後までしなければ…大丈夫。キスだけでも触れ合いたい衝動をお互いに抱いていた。
「ッ…」
官能的なキスに全てが痺れを感じる。もう少し、もう少しだけ触れてほしい。
本能的に誘惑するような甘い声が出てしまう。
大地の唇が首筋を伝うとチクリとした痛みが走った。
「キスマーク?」
「そう、俺の女だって証?」
なんだろ…何か嬉しい。
「じゃあ、もっとつける?私が大地の女だって知らしめる?」
「少なくともマーキングになるから吸血鬼も簡単には手出し出来ないかと思うよ」
「そうなんだ?」
「余程じゃない限りね」
大地はそう言いながら私の服に手をかけた。
少しずつ露になる肌…少しずつ痕がついていく。触れられる事は恥ずかしいけど…でも…嬉しい。
胸の膨らみに花びらのようなキスマークをつける大地。その流れのまま尖端をも刺激され敏感に反応してしまう。
「ッ…あッ…ちょっ、と…」
「感じた?可愛いなぁ」
「何言ってるの?やだよ…恥ずかしい…」
私の反応を悪戯に楽しんでいる大地。でも…その刺激を一番欲しているのは私だ。
【姫】のせいで敏感過ぎて…快楽に悶え声が漏れてしまう。その声につられて、更にエスカレートする行為という悪循環。
もう、残すは本番しかない…そんなとこまで堪能された体。
私は
だから…大地にも私と同じように快楽を堪能してもらった。だって私だけじゃ申し訳ないから。
そんな感じに忍耐の日々を過ごしてきた私達。
****
誘惑に何度も負けそうになりながら過ぎた日々。それもやはり限界は来る。
時間が経つにつれて愛しさが育まれて、愛されたいと思ってしまう自分がいた。
大地が好き過ぎて…甘えたくて…全てを与えて欲しくなる。
お互いに触れ合いは絶頂のピークになっていた。そろそろ止めないと危険なとこまで来ている。
「大地、もぅ…無理…」
欲しくてたまらない…無理だとわかっていても。愛しくて…切ない。
「美空、好きだよ」
「ズルい、こんな時に…」
大地が…欲しくてたまらない。
「大地…大好き」
「愛してる、美空」
大地との子供も、欲しくてたまらない。
「私も…愛してる」
全てが欲しくてたまらない。
「大地とずっと一緒にいたい」
「俺もだよ」
私は大地を強く抱きしめた。どうしようもない感情に苦しくて泣きそうだ。
あと…約1年で卒業まで来ている…かなり頑張ったと思うよ。
私達はもうすぐ3年生になる。耐え忍びの拷問な日々に欲求不満で他のカップルが羨ましくて仕方ない。
「美空…最後まで…いい?」
「え?」
「理事長の許可は貰ってあるから」
「そう…なの?」
「自分達もそうだったからって…フォローしてくれるそうだよ」
そういえば…そんな話、聞いたことあったかも。
「たくさん愛し合おう」
「うん!」
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