第49話 攻撃
久しぶりに訪れる様な気がした。そんなに日数が経ったワケじゃないのに。
毎日通ってたのが、そうでなくなると、少しの日数でも久しぶりに感じる。
昨日は拒否したのに…今更って思われるかな?それでも…私は、蓮君と話さなければならないから。
部屋の前で立ち竦む。威圧感がして、ノックが出来ない。実際にはただのドアでしかないのに。
大口を叩いても、やっぱり怖いのは変わらない。
私なんかで、蓮君をどうこう出来る?私じゃ無理だって思ったから父は大地を招いたのに…。
でも、強行的な事はしてほしくない。
(覚悟を決めなくちゃ)
覚悟を決め深呼吸。勢いよく、部屋のドアをノックする。
かなりの心拍数だった。緊張で吐き気がする。反応を待ち続けるけど…何もない。
「蓮君?」
部屋に向けて声をかける。
「私…話があるんだけど…」
呼び掛けても返事がない。
でも…いないことは…ないよね?
私はそっとドアを開けると中をうかがった。
部屋の中は、まだカーテンが閉じているせいもあって暗い。うっすらと明るいぐらい。
「蓮君?」
多分、まだベッドの中だと思われた。少し警戒しながらも近付く。
(あれ?)
ふと、違和感に気付く。
この時間で蓮君が寝てるハズがない。当たり前だけど、蓮君は社会人なんだから仕事の準備していないとダメなはず。
つまり、蓮君は部屋にはいない。
(じゃあ…どこに?)
「?」
微かに香る、大地の匂い。
(何で香る?)
「蓮君…まさか…」
私は慌てて、自分の部屋に走る。
蓮君は私達の部屋にいるんだ。私の部屋に。
大地の匂いがするのは、蓮君を警戒してるから。もしかすると、喧嘩になっている可能性もある。火と油な関係だもの。
蓮君、私に会いに…とは思えない。多分、大地が目的な気がする。
私は勢いよく、部屋に入る。躊躇いはない。
すると目に飛び込んできたのは…大地の首を絞めている蓮君だった。
「蓮君!やめて!」
私は蓮君の腕に飛びつき、大地から退かそうとした。でも、吸血鬼の蓮君に敵うワケがない。
「蓮君!」
「ソラ…コイツの血を口にしなよ」
「え?」
蓮君は私をじっと見つめた。それでも手は緩めない。
「血を口にしたら…解放する」
「でも…私はまだ、血を口にしたことなんてない…」
「簡単だよ」
(そういう問題じゃない…違うよ)
「大地から血を貰ったら…私は吸血鬼じゃなくなるんだよ?それって、ただの人間…あ…」
「ただの人間になれよ。そして、姫の血を俺に与えろ」
蓮君の目が紫に光る。吸血鬼の瞳。
私は首を横にふる。
(嘘だよね?)
私は大地を見た。
彼の血を飲めば…吸血鬼は人間になる。それが【騎士】の血。
私に血を吸うことは出来るのだろうか?したことないのに。
「大地…どうして…」
「美空…は…嫌がる…だ…ろ?」
首を締め付けられ、微かに声を出す大地。
私が蓮くんを殺されてしまうのが嫌だと知ってるから炎を出さないんだ。本来なら対抗出来るのはずなのに。
私がOKしたら…大地は蓮くんの事を…。
「ごめんなさい…」
私は大地に近付いた。
蓮くんは大地の首から額に手を移動させ動きを封じる。私が首に噛みつけるように。
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