第49話

「ギィは……魔法使いですか?」


「僕は魔法は使えないよ。これはね、僕の君に対する気持ち。言っただろ、雪を見せてあげるって」


エミリアンはギィに抱きつき、お礼を言った。


「寒いから、中に入ろうか」


ギィはエミリアンの肩を抱き、そのままこっそりと階段へ向かった。

ちらと店内を見ると、シルヴィが手を振っていた。隣には子供の姿のローラン。二人はきょうだいのようだった。


この雪はシルヴィのせいなのだろうか。

魔法使いは雪を降らせることも出来るのか?

まあ、なんでもいい。エミリアンが喜んでくれた。それだけでギィは幸せだった。


部屋に入っても、エミリアンは窓を開けて空を見ていた。


「この雪、積もりますか?」


ギィの予感では朝まで止まない。


「明日、雪の森を散歩しよう。今朝、高台から見た、下のほうの森に行ってみようか」


「はい」


ギィは窓を閉め、エミリアンを抱き上げてベッドまで運んだ。


「お祝いのキスをくれる? ここに」


自分の右頬を指差し、ギィは甘い瞳で恋人を見つめる。


さっきキスしたのは左頬だ。エミリアンはすぐにギィの右頬へ、唇を当てた。


「ここにも」


ギィは今度は唇の端に軽く触れ。

エミリアンは素直にキスをする。


「ここも」


人差し指を唇の真ん中に当て、ギィは微笑んだ。

エミリアンは恥ずかしそうにしながらも、ギィの唇に唇をつけた。


一瞬で離れた唇を、ギィはすぐに掴まえた。エミリアンを抱きしめ、深く口づける。


そのままベッドに倒れ込み、二人は長いキスをした……。

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