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第38話

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ミュレルはおとぎの国だった。

赤いとんがり屋根や、その他の原色の派手な屋根。家の壁もピンクや水色といった、可愛らしいパステルカラーだ。


カーブのついた石畳を歩いて行くと、広場や公園に到着する。

森や林も多く、人々はゆったりと、のんびりと暮らしているようだった。


エミリアンは目が覚めると、いつも隣にギィがいてくれるのが嬉しかった。

ギィも、毎朝エミリアンの寝顔を見られるのが嬉しかった。


着の身着のままで駆け落ちしてきた二人は、イェレとカロリーナに服を調達してもらい、ギィはピアニストとして、エミリアンは店の手伝いをして稼いだ。


休み時間になると、二人は手をつないで散歩をした。

ギィは自分の世界のことを、エミリアンはレネックのことを考えたが、お互いに口には出さなかった。

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