第27話
その頃、ギィは。
テレビ局の楽屋で、シルヴィと話していた。
「レネックへの滞在期間て、決まってるの?」
「決まってるわけじゃないけど……」
話すのを渋っているシルヴィは、「自分で考えてみて」と言わんばかりの態度だ。
この子は、なんでこんなに偉そうなんだ? 子供のくせに、タメ口だ。まあ、魔法使いとしての実力はあるし、友達なので、ギィも大人げないことは言わないが。
「うーん……」
飛ぶ場所はいつもデュレー家。庭園と室内。決まって、エミリアンのいる場所が到着地だ。
最初に戻ったのは、エミリアンとロシェルの前で歌った後。僕の歌声に驚いていたエミリアン、可愛かったなぁ……。
その次は、やっぱり歌った後、エミリアンが倒れて――。
この間は、朝まで一緒にいられたっけ。気持ちが通じた、あの夜……。
あの日は、なぜあんなに長い時間、滞在できたのか。
「……引き合う気持ち、とか……?」
何気なく呟くと、シルヴィが両手を打った。
「さすがよ、ギィ。もう、なんだってお見通し?」
そうか。やっぱりエミリアンとは運命の恋人同士なんだ
能天気に笑っているギィを覚めた目でちらりと見て、シルヴィは告げた。
「私、しばらく旅に出るから。エミリアンのこと、お願いね」
シルヴィがいなくなってから、ギィは「ん?」と首をひねった。
(シルヴィとエミリアンて……)
「ギィさん、リハーサルお願いします」
マネージャーのサカキが顔を出し、ギィは表情を引き締めた。
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