14

愛亜が

「……でも……でもぉ……」

と呟く。

「あのさ愛亜…お前もよく分かってんだろ?このままじゃいつか必ず……」

愛亜が俯いて

「……それは……分かるけど……」

と言った後

顔を上げて

「……だからってぇ……」

愛亜の声はどんどんとか細くなる。

「……ねぇ……私と…一緒に居てよ…」

嗚咽が響く。

「…ねぇーーー。」

と俺の名前を呼んだ。

「ごめんな」

俺はそう答えるしかなかった。

「結梨……」

「……ダメなの!」

と結梨が大声を出した。

俺は言葉を失う。

結梨の目には涙が浮かんでいる。

「…お願い……」

「結梨……」

結梨が俺の胸に飛び込んでくる。

結梨の腕が俺の体に絡んでくる。

結梨が泣きながら

「…お願い……」

と懇願してくる。

俺は黙って結梨の頭を撫でる。

「お願い…」

結梨の言葉が聞こえる度に、胸が締め付けられるように苦しくなる。

愛亜の方を見ると俯いている。

「なぁ愛亜……」

と言って声をかける。

愛亜が顔を上げる

「お前の事だって…大切な親友として…

 ずっと好きだったんだぞ?

 俺のくだらねぇ話にも沢山付き合ってくれたよな……

 子犬拾った時だってーーー」

「うん……うん……」

愛亜の目には涙が溢れている。

「ありがとうな……。本当にありがとうよ」

愛亜の目から大粒の涙がこぼれる。

「もう、十分だから……」

俺はそう言って、愛亜の目を見つめる。

愛亜の瞳が揺れ動き俺を見つめる。

「……ごめん……」

愛亜の呟きが聞こえたかと思うと

俺の胸に飛び込んできた。

愛亜の腕が俺の体を強く抱く。

「ごめんね……!ごめん……!」

愛亜は俺の胸に何度も顔を埋めて謝り続ける。

俺は黙って愛亜と結梨を抱き締める。

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