「好きなんでしょ?結梨のこと…」

「……は……!?」

俺は絶句する。

愛亜は、俺が何も言うことが出来ないのを

確認すると

「やっぱりね。アンタってさ、結梨のことになると

 いつも緊張してて、話しづらそうだったじゃない」

「それは……」

「アンタ、女の子に全然免疫無いんだもん」

「うっ……」

俺は、何も言い返せない。

「それに、結梨の事で何か悩んでたのも知ってるのよ」

「……」

愛亜の言葉に反論できないでいる俺を見て

「ほら!図星でしょ!」

愛亜が勝ち誇った顔をしている。

「まぁ…色々あるからな…」

俺は、横を向いて曖昧に答える。

「色々って何よ!」

愛亜が不満そうな声を上げる。

少し間をおいて

「ま、いいわ。とりあえず今日はここまでね」

「なんだよ、それ……」

俺が呆れていると

「何か悩んでることがあったら、私に相談しなさいよ?」

「お前なぁ……なんでお前がそこまでするんだよ……」

「何でって…だって……私だって…!」

「……はっ?」

「何でもない!とにかく、そういうことよ!わかった!?」

「はぁ……」

俺は、ため息を吐く。

「ったく……まぁ、分かったよ……」

愛亜が少し顔を綻ばせる。

それから、愛亜はいつもの調子に戻ると

「それじゃ、帰るわよ」

そう言って公園の出口に向かって歩き出した。

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