「あー……」

沈黙を先に破ったのは、俺だった。

「えっと……ここ座らないか?」

「いいの?」

そう言って結梨は俺の横にちょこんと座る。

「…ふぅ……」

結梨が深呼吸し大きく息を吐く。

「こんな所でどうしたんだ?」

俺は、気まずさを紛らわすために話しかける。

「……ここ帰り道なんだけど、何か声が聞こえたから……」

そう言って俺の方をちらりと見る。

独り言を聞かれたのか。

「それで、その声の主が誰なのかと思ったら……」

そこで一旦言葉を切って俺の方を見る。

「私…さ…。変わったよね……」

「……」

結梨の言葉を黙って聞いている。

「ほら!身長伸びたし、胸も大きくなったし……」

結梨はそう言って恥ずかしそうに

自分の胸に手を置きながら俯く。

「だから……」

結梨が何かを言おうとするのを遮るように

声が聞こえてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る