第45話
山中鹿之助 幸盛は京都で僧籍に入っていた遺児を探し出して還俗させて擁立し、尼子勝久と名乗らせ尼子氏再興を旗印に中国の王毛利に再び散りじりなったが鹿之助は勝久の無事を確かめると一度は囚われの身となったが知謀で逃亡し再び挙兵した。
父親の正継の尼子物語を聴き終えた後、三成は、
「何度、敗れても挫けずに立ち上がり、強い志を真っ直ぐな御仁ということですか」
正継は神妙な顔つきになり、
「しかし、鹿之介殿はその志の有りのままに生き抜くことは難しいかろうな」
三成は山中鹿之介に会ってみたいと思った。
鎧兜に身を固めた父と三成は並んで小荷駄隊とりて羽柴軍の最後尾にいた。
その後に明智光秀の本隊がある。
光秀は馬を操り小荷駄隊を抜き、先頭の総大将の信忠に許しに馬を走らせて行く途中で小荷駄をちらりと見た。
信貴山攻めは、なかなか思うようには進まない。
松永勢の奮戦と、信貴山城の要害が、攻める織田軍を苦しめた。
膠着してた戦局が大きく動いたのは、十月九日の夜である。
筒井順慶の軍兵が、信貴山から忍び出た松永久秀の密使を捕らえたことがきっかけになった。
篭城に窮した松永久秀は、隣国・摂津 石山の本願寺に援軍を求めようとしていたことが分かり、順慶はこれを逆手に取った。
手兵に阿弥陀名号を大書させた旗を持たせ、本願寺からの援軍と見せかけてこれを信貴山城内に潜入させ『数日後には本願寺の大軍が救援に駆けつける』などと嘘の情報を流したのだ。
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