第40話

柴田勝家が軍議を開き、そこで秀吉は北陸に軍勢を集中させることの危険性を主張したが、勝家は秀吉を馬鹿にする様に言い放った。



「あれこれと筑前は屁理屈を言うておるが、おぬしは謙信と戦うのが恐ろしいのであろう」




これには秀吉は腹が立ったが堪えた。


その数日後、秀吉の予想していたようなことが起こったのだ。


松永弾正が謀叛の反旗をひるがえしたのだ。


またしても軍議で秀吉と勝家は意見がぶつかり合う。



「筑前、おまえはそんなに謙信と戦うのが恐ろしいのか?!」



売り言葉に思わず秀吉は、



「馬鹿な、謙信を臆しておるのは修理殿でござろう!!」



「筑前、そう頭に血を上らすな」



丹羽長秀が見かねて口を挟んだ。


しかし、対立は収まらず秀吉は羽柴本陣に戻りその日のうちに兵をまとめ加賀を後にした。




帰路の途中で三成は秀吉の側に控えて遅めの昼食を食べていた。




「それにしても此度はまた思い切ったことはなさりましたなー」



半兵衛は普通のことのように喋る。



「……男の意地じゃ」



うなだれたように秀吉は呟き、頭をかき唸る。



「それで、この先どうなさるおつもりですか?殿は」



このまま秀吉は帰れば死ぬことになるのは三成にも分かる、どんな理由があっても無断で持ち場を離れた秀吉をあの信長が許すはずが無いからだ。

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