第38話

羽柴軍は近江の北側から山岳地帯を抜けて敦賀に出てそこから東に向かい木ノ芽峠を越え広大な越前平野が広がっていた。



三成達も驚く光景だった。 一面に田んぼが広がり、まだ穂を付けてないが緑の稲が風に揺れていた。



秀吉は半兵衛と話をしていた。


半兵衛は美濃の斎藤龍興の旧臣の男で才智をひらかすわけでもなく、身体の線が細い優男であったことから当時の主君の龍興はもちろん他の家臣達も彼を日ごろから侮っていた。


その半兵衛が十九歳の春、恐るべき智謀の才覚を見せつけたのが稲葉山城乗っ取りだった。


半兵衛は龍興に取って代わろうとした野心ではなく主君の日ごろの行動を戒めるためのものだった。


その後、稲葉山城を返還し居城の菩提山城を弟の九作に譲り、近江の伊吹山の麓に隠棲してしまったのだ。



その半兵衛の元へ秀吉は何度も足運び、織田家に仕えてほしいと懇望しその秀吉の熱意に負け、信長に仕えることは拒んだが秀吉にならと、禄も貰わず最初は居候で最近になり秀吉から禄を受ける様になっている。

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