第36話

「それは、重畳。では秀吉めも出陣の支度に取り掛かりまする。」



「話はその事ではない。猿は雑賀、根来討伐には後詰めせよ。その後、猿の出番よ」



信長は謎かけのような言葉を投げかけている。


三成は聞いていても自分には分からない内容だと思った。



紀伊攻めの織田勢の中心は佐久間信盛、荒木村重だったが守り手の鉄砲隊に悩まされたため、後詰めの羽柴軍が投入されることになった。


中国方面で武功を立てたい秀吉にとっては不満だったが信長の命令は絶対だ。




その結果、紀伊攻めは痛み分けになった。


秀吉は雑賀衆の長である雑賀孫市という男の元へ行き、形ばかりだが降伏に持ち込んだのだ。



その際に約束したのは雑賀衆は今後一揆を起こさず、撤退するのを追わない、これに対して孫市は本願寺を攻撃をする織田勢には抗戦するがこの雑賀の里を攻撃しなければ攻撃しない。




長浜に戻ると三成は秀吉に大谷紀之介の話をした。



「秀吉さま、一つお願いがございます」



「言うてみい、遠慮はいらん」



「もう一人お召し抱えていただけませんでしょうかお願いいたします」



「ほぉ、もう一人?佐吉の知り合いか」

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