第35話
思わず三成は声を上げた。
三成の目の前には、女人と見紛うような信長の顔がある。
顔を上げない三成に我慢できず、信長は上段の間から下り三成の前に立っていたのだ。
三成は驚きを隠せず、声を上げてしまったのだ。
父親から教えられた貴人とは織田信長は違う武将だった。
「猿めの近習にしては賢そうな面構えだな」
信長は上段の上座にどっかっと腰を下ろし話し出した。
「猿、話がある」
重要な話だと判断した秀吉は三成に部屋から出るように命じた。
部屋から下がろうとすると、信長がそれを制した。
そろそろ冬籠りの時期になる。長浜はどうじゃ?」
「はっ、思ったよりも寒さは厳しいと感じますが、身体がそのうち慣れると思いますが」
「そうか、野放しにしておった一向一揆を討伐することを決めた」
「では、いよいよ?」
「先だって、紀伊の雑賀た根来を討伐する。彦右衛門(滝川一益)の手の物が寝返りを誘ったのだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます