第29話
佐吉が隣に腰を下ろすと重辰は一年前、織田と武田が手切れになり、設楽原(シタラガハラ)で激突し武田勝頼率いる武田の騎馬隊が惨敗した様だと話し、
「上総介さま(信長)は鉄砲を使い武田を滅ぼしたそうじゃ」
数年前に美濃国と領地を隣接する甲斐国の武田信玄の四男武田勝頼と養女を婚姻を結び同盟を結んだが、男子を出産後亡くなり、信長は嫡子の奇妙丸と信玄の六女の松姫を婚約させた。
信長の伊勢攻略が進む中、信長包囲網を数年で打破し甲斐国に反攻を強め、武田方も徳川領にも再侵攻してきたのだ。
佐吉は織田信長に会ったことはないが、非情な顔を持つ男だと思っていた。
楽市楽座など新しい制度を作り、頭の良い男で、戦でも他の者が考えないような方法をとっている。
昼餉を食べ、堀の工事へ向かった。
「おう、佐吉見ろ」
大勢の人が集まっていた。
掘割が完成し水が勢い良く流れ出し田んぼが潤い人垣から感嘆の声が湧き出す、その声は歓声に変わり佐吉もその様子に見惚れる。
「どうだ、佐吉すごいだろう」
治平は身を屈め流れる水を見ていた。
けれども、まだーこれは最初の一歩に過ぎない。
「まだ、計画は始まったばかりだがすごいと思うよ、治平さん」
治平は目を輝かせ頷く。
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