第15話

夏耶は弟達の頭を撫でて笑い、




「バカだね。違うよ、確かに父ちゃん達は戦に取られて殺されたけど、佐吉殿は私を守ってくれたんだから、同じお侍でも違うよ」



「さあ、上がってほら」



それから何度か稽古が終わり、お菊から用事を頼まれると夏耶が働くお店のまで会っていた。



夏耶は佐吉より三つ年上で、よく気がつく女子だった。


明るい性格で目鼻立ちがはっきりしている。


夏耶はいつもより丁寧に髪を梳き一番のお気に入りの小袖を身に付けていた。



お店の旦那さまにもらった物だが気に入っている。佐吉のような清々しい少年に今まで会ったことがなかった。


少年から青年になりかけの若者だ。


艶やかな黒髪を結い上げて白い肌で初夏を思わせる藍の小袖に紺の袴を身に付けていて視線は鋭いが警戒心が強いわけではなく、かといって気を許している風もない。


二人で川沿いを歩いているだけで心が弾んだ。


槍の稽古の話や畑仕事の話を佐吉はするだけだったが、お店の旦那の閨の相手を何度かしているが、最近はしていないため肌に男の痕は無いし、好きだと思う佐吉に抱かれてみたかった。

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