第14話

槍の稽古をすれば夏耶のことは頭の中から消える。


佐吉は稽古と畑仕事の疲れからか直ぐに睡魔に襲われた。


正澄は部屋の灯りを消して自分も床に入った。



翌日も槍の稽古が終わり、畑に行こうとする佐吉に重辰の妾のお菊から用事を頼まれた。



お菊は身籠っていて重辰が、心配するので代わりに薬を買いに行くことになった。



「竜胆、葛根、当帰…」



「佐吉さま!!」



紺色小袖を身につけている夏耶が話しかけて来た。




「夏耶殿…」




「今日はこれから家に帰るの、この前のお礼に茶の一杯でもご馳走するわ」



「いや」



断ろうとするが夏耶は佐吉の腕を掴み笑う。


夏耶の家は小さく、中から男の子が二人、女の子が一人かけて出できた。



「ねーちゃん、おそいよ」



「ただいま、一郎、次郎、イヨごめんね」



「ねーちゃんこいつ、侍だよ!父ちゃんと母ちゃんを殺したやつと同じ…」

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