第12話

「槍は手で突くのではない。槍と身体を一体にして、躯ごと敵にぶつかるように突け、敵が突いてこようが斬りかかろうがためらうな。自分は怪我をせず敵を倒そうなどど考えてはならぬ。」



佐吉と正澄は何度も繰り返し、槍を突き出す。


全身から汗が噴き出し呼吸が乱れるが二人と同じように槍を突き出している重辰は汗など掻いていなかった。



「毎日、最低一千回は突く稽古をしろ、始め!!」



槍の稽古が終るど躯はへとへとになるが、昼餉を摂ると畑の仕事を手伝う。


佐吉は鍬を使い畑を耕す、最初は慣れぬため重辰が大笑いをしていた。


今は手慣れ鍬を持ち上げ振り下ろす。 固い土が面白いようにどんどんほぐれていく。



陽が落ち佐吉は屋敷に帰ると泥だけになった足を桶の中の水で洗い汚れを落とした。



先に帰ったら兄の姿が見当たらないので伯母に問うと伯母は出かけたよと教えてくれた。



ーこのところ毎日だな…何処に行って行っているんだろう?

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