第10話
男が殴りかかってくる。 拳が顔に迫ってくるのを見切り、佐吉は顔をわずかにそらした。
拳が空を突いた瞬間、佐吉の蹴りが男の鳩尾に深々とめり込む。
うぐつ、と声を発した男は膝から崩れ落ちた。
「この糞ガキが!」
別の男が蹴りを繰り出してきたのを素早く交わし、
「人が集まっているいいのか」
男の目には細身だがその腰に重みのある真刃を差しているのがわかった。
「ここらで許してやらぁ!」
男達は逃げて行った。 子供達も少女に礼も言わずいつの間にか姿を消していた。
少女はそのことを気にする様子もなく小袖を整えていた。
「大丈夫か?」
「助けてくれてありがとう。男でも乱暴しない人がいるのね」
少女は愛嬌があり、前髪は眉の辺りで切りそろえ、腰までの髪を緩やかに束ねていた。
人当たりの良い柔らかな笑顔だった。
彼女は夏耶(カヤ)と名乗りこの辺りの大きな店(タナ)に奉公している。
佐吉は夏耶を店まで送って行った。
「送ってくれてありがとう」
「夏耶何処に行っておったのじゃ」
「旦那さま…」
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