第3話

佐吉の身体は細く、肌も白いため子供の頃は良く女子と間違えられて腹が立つこともあった。



「俺は伊香郡の大谷村生まれで大谷紀之介だ」



「大原の観音寺で修行している。坂田郡石田村生まれの石田佐吉だ」



細い棒切れを拾い地面に佐吉と書いた。


紀之介と名乗った少年は同じように紀之介と書きながら、



「生まれ年は?俺と同じ年頃ようだが」



「永禄三年だ」



「十五歳か、なら俺の方が一つ年上だな。家族は?」



「父は藤左衛門正継。母と兄が一人と、弟と妹がいる、父は今は村長をやっている」



「俺の父は吉房という。六角家に仕えたていたが、戦で怪我をして、その怪我がもとで去年亡くなった。今は、母と妹がいる」



「侍奉公をしてみたいのと思ったことはないか?俺は三男だから、寺に入れらたが…」



「もちろん、こんな時代だからな。剣術、馬術の稽古に励んできた、富田流だ父が師だったが…佐吉は?」



「父は俺を僧にしようとして寺に入れたからな…」



「そうか」



紀之介はあざ笑うわけでもなくただ佐吉の話しを聞いていた。

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