第17話

分からない、というのが正直なところだった。

 叶多のことを異性として意識したことが、全くなかったわけではない。

 雨の中、叶多が家まで送ってくれたことがあった。家に帰りたくないと弱音を吐いた私の手を、彼はギュッと握ってくれた。その時、心が大きく揺れ動くのを感じた。

 でも、それはほんの一瞬のことで、それよりも家の問題の方が重くて、私はその気持ちについて深く考えなかった。

 私にとって叶多は、恋愛の対象というよりも、かけがえのない大切な友達だった。


 電車を降りてからは、吉木が中学時代の同級生の近況について話すのを聞き流しながら歩いて、分かれ道で別れた。

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