第14話

「ふーん」

 私の当り障りのない答えに、吉木はつまらなさそうに相槌を打った。

「そんな仲良かったのに、転校した後は連絡取ってなかったんだな」

 そのもっともな指摘に、「まあね」と短く返した。

 私が転校したのは、中学三年生になる春のことだった。お母さんと一緒に母方のおばあちゃんの家に移ったのだ。

 叶多は毎日のようにメールをくれた。でも、当時の私は、新しい環境に慣れるのに必死だったり、体調を崩したお母さんのことが心配だったり、何より、自分の父親がしでかしたことが恥ずかしくて、彼とのやり取りに積極的になれなかった。

 最初のうちはメールが来れば返していたけど、返す頻度が減って、返したとしてもごく短い言葉になって、しまいには全く返さなくなった。それでも叶多からの連絡はしばらく続いていたけど、高校に上がって半年ほどが経った十月の中頃を最後に、完全に途絶えた。

 彼からの最後のメールには、今度私のところに遊びにいくと書かれていた。

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