第13話

保健室で初めて話した日からしばらく経って、学校の昇降口でばったり会ったのだ。学ラン姿の叶多を見た時の衝撃は忘れられない。一瞬、何か事情があって男の制服を着ているのかと思ったほどだ。

 自分の勘違いに気づいてひたすら謝る私に、叶多は家に遊びに来ないかと言ってきた。


 その時はずいぶんと唐突な誘いのように感じたけど、彼にとって友達を家に呼ぶことのハードルが低いことはすぐに分かった。

 彼の家にはいつも子供がたくさんいた。ただでさえ兄弟が多いのに、叶多のお母さんが近所の子供たちに習字を教える傍らケーキやクッキーを焼いていたから、習字教室の生徒や匂いにつられた叶多たち兄弟の友達が、しょっちゅう出入りしていたのだ。


 自分の家にはない陽だまりのような空間に、私もいつしか、彼の家に入り浸るようになっていったのだった。

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