抗体獲得

第5話

女は一週間経っても来なかった。

 来ない気はしていた。キスは明らかにやりすぎた。

 あまりにもタイプだったから早まってしまった。冷静に考えたら、院長の孫娘に二回目の接種をしに行く時にもチャンスはあるわけで、もっとゆっくり事を進めたって良かった。

 まあ、過ぎたしくじりを悔やんだって仕方がない。どうせ手に入れたところで続かなかっただろうし、訴えられなかっただけマシだ。


 一人の女と長続きしたことがない。一度抱いたらどうでもよくなる。追いかけられたりなんかした日には、心底その女が嫌いになる。

 最低な人間だと自覚しているけど、女は次から次に寄ってくるから、特に困ってはいない。


 あの女に『今週は夜八時以降は家にいる』と伝えたのが月曜日だったから、一応、日曜日の今日まではまっすぐ家に帰ってきたけど、どうせ今日も来ないだろう。そう思って、テレビにエロ動画を映して一人で処理しようとしていた。

 インターホンが鳴ったのは、そんな時だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る