第24話
『大政由美様のご家族の方でしょうか』
電話の主は、大学病院の看護師だった。
「はい。娘です」
そう答えながら、咲来は嫌な予感がした。
『娘さんですか。他にご家族の方はいらっしゃいますか?お父様とか』
「いえ、家族は私だけです」
『そうですか。それでは、落ち着いて聞いていただきたいのですが、お母様が怪我をなさって現在治療しているところです。こちらにお越しいただくことはできますか?』
急いで病院に向かった咲来は、そこで母親が自殺未遂をしたことを知らされた。
命に別状はないものの、しばらく入院することになることを、精神科のかかりつけ医は、咲来に説明した。
それを聞きながら、咲来はずっと自分のことを責め続けていた。
このところ、眞野のことで頭がいっぱいで、母親の話に耳を傾けていなかった。
それだけではない。眞野が『お母さんとは距離を置けばいい』と言ったから、無意識のうちに邪険に扱っていたかもしれなかった。
私がママを追い詰めたんだーー。
眠る母親の頭に巻かれた痛々しい包帯を見ながら、咲来はそう思った。
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