第17話
「サオリ、やめろ」
そこに当の眞野が現れた。
「ラボにまで乗りこんで、何を考えてるんだ」
「それはこっちのセリフよ。こんな若い女にうつつ抜かして、別れてくれって、何のつもりなのよ」
「だから、本気だって言ってるだろ。本気で好きになってしまったんだ」
「それをうつつを抜かしていると言うの。あなたがシュークリームを持って帰ってきた時からおかしいと思ってたわよ。何なの、あのポストイット。人の旦那にちょっかいかけてるようにしか見えなかったわ」
「大政さんは関係ない。俺がーー」
「眞野先生、ちょっと、よそでやってくれないか」
教授が声を荒げて制止すると、眞野はハッとしたように口を閉じた。
そして、咲来の方に歩き寄った。
「迷惑をかけてすまない。君の悪いようにはしないから」
そう言って、咲来の肩を一つ撫でた。
ジンジンと熱を持つ頬を押さえて、咲来は、急速に気持ちが冷めていくのを感じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます