第33話 朱梨、来襲

夕飯の準備中、突然電話がかかってきた。


『今から、そっち行くね~』


「は?」


当たり前である。何の前置きもなくこんなことを言われたのだから。


『ちなみにマンションの1階についたから』


「何で来た?」


『なんとなく』


要件なく来るにはかなり失礼に当たる時間だと思うのだが…。

俺が知る限りでは彼女は良識的な人間だ。そんなことをする人間だとは到底思えない。


てか、やばい!早く葵を家に帰さなくては‼

……しかし、料理は…どうしよ……。


「朱莉が来るらしいから一回、家に戻ってもらってもいいか?」


「それはいいですが、料理でばれません?」


「キッチンの扉を閉めておく。そして、料理はさらに移してラップかけて冷蔵庫に入れておけば、どうだろう」


「それでしたら、買ってきて皿に移したといえば、ばれることはないでしょう」


俺たちは急いで皿に移した。

葵は一旦、家に帰っていった。


エントランスのカギを開け。家に迎え入れる。


「こんな時間に何しに来た」


「親と喧嘩した」


「時哉の家は?」


「親に連絡行くもん。ってことで暫く泊めて」


「いやいや…。」


料理、どうしよ……。


とりあえず、葵に連絡をした。

すると、後日この料理は使われるそうだ。


「で、何日くらい泊まるんだ?」


「んーとねー、5日くらい?」


「いや、長いわ!」


「えー、いいじゃん、減るもんじゃないんだし!」


「俺の精神が擦り減るんだが……。」


「ええー弱っちいなー」


補足しよう。朱梨はちょっと、いやかなりテンションが高い生き物なのである。てか、よくよく考えたら幼馴染の親友(異性)の部屋によく泊まろうとか思ったよな、こいつ。


なぜか、こいつのテンションが異常に高いのは、短所だが、見てくれはかなりいいのである。

いや、言ってしまえば葵とは別ベクトルで美人なのだ。


「てか、着替えとかは持ってきたのか?」


「あ!忘れてた!」


「アホなのだろうか…こいつは……」


「ちょっと買ってくる!」


朱梨は一人で突然、買うために出て行ったのであった。

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