第32話 推しとゲーム

 葵はアクション要素のあるゲームは無理だということが分かったため、現代人が親しみやすいであろう、レーシングゲームをしていく。

 おなじみ、アリオカートだ。

 

「じゃあまずはコンピュータとやっていこうか。最弱に設定してあるから、まあ、がんばれ。」


「はい!」


葵は、目を輝かせてコントローラを受け取り、スタートを押す。


1回目  12位

2回目  12位

3回目  12位


6回目  10位

20回目  8位

50回目  3位

80回目  1位


「……やっと、1位を取ることができました!」


 とりあえず、設定を確認した。うん、最弱に設定してある。……おかしいな~。


「おめでとう!お前が頑張っていたのは見ていたよ。」


「誰目線ですか?それ。」


「急に素に戻んないで!」


恥ずかしくなるだろうが!まあ、いいけど。


「私、ゲームがあまりにも下手なので、ゲーム配信とかやったことないんです」


「確かに、これまで見たことなかったな」


 思い返してみると、ゲームはしていない。理由が下手だからとは……。


「リスナーにしてほしいってお願いされたらどうするんだ?」


「努力してある程度できるようになってからします」


「それ、どのくらいかかるんだろ…。」


「ざっと3か月くらいでしょうか」


「俺の想像の3倍は長かった…」


まあ、1か月すら失礼かな、って思いながら言ったらその3倍の数字を出されるとは思うまい。


「俺と戦ってみるか?」


「遠慮しておきます。負けるので」


まあ、ゲームが苦手だからと言って不都合はない。なぜなら、ゲームは義務ではないからである。あくまでゲームは娯楽なのであって、ストレスになるくらいなら最初からやらない方が吉という判断が下されるだろう。

まあ、それはそれとして、悲しすぎる理由である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る