第25話 葵の過去②
「つまらないどころかあなたを不快にさせてしまう類の話だと思いますが、聞いてくれますか?」
「おう。」
彼女はぽつりぽつりと話し始めた。
「私の両親は所謂政略結婚というやつらしいです。要するに、愛し合って結婚したわけではないのですよ。まあ、細かい事情は伏せておきますが。」
普通好きなもの同士が結婚するのであり、言ってしまえば利害の一致で結婚するなんてことあり得ないわけではないが一昔前の話だと思っていたのだ。しかし、無くなっていないと彼女が言うのならば、事実なのだろう。
彼女は寧ろ上流階級の人間にあたるであろう。なぜなら、持ち物も上等だし、所作も丁寧そのもの。言葉遣いも基本は敬語だし、教育の賜物というやつなのだろう。
「しかし、一夜の過ちで私が生まれてしまった。あの人たちには私たちを育てる気がないのですよ。潤沢な資金だけ渡しておけば、育児義務を果たしていると思い込んでいる。そのため、私は愛というものを知らないのです。まあこれは生まれてからずっとだったので、諦めもつきました。でも時々どうしても思ってしまいます。……困るなら、邪魔だと思うなら産まなきゃよかったのにねと。産んでなんてお願いした記憶もありませんし。」
酷すぎる…。
「しかし、中2の2月に起こってしまったのですよ。第2の不幸が。」
……さらに不幸あんの?
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