第3話 葵のSOSと新学期

 私―田中葵―は混乱している。


 話は変わるが、私は『神薙葵かんなぎあおい』という名前でVtuberとして配信活動を行っている。


 今日も絶賛配信中なのだが、PCが動かない。これってフリーズってやつ?


 誰か助けて。


 電話で助けを求めようにも、連絡先には両親しかいない(泣)。そしてその両親は機械音痴なのである。


 どうしよう。


 さっき公園で声をかけてきた望月翔を思い出した。よし、彼に聞いてみよう!


 意気込んできたはいいが、Vtuberは身バレしないように細心の注意を払わなければならない。完全に失念していた。もうどうにでもなーれ!ピンポンしちゃったし!どーせ知らないだろ。


 事情を説明し、彼がPCを覗き込むと一瞬だが、やや驚いた顔をした。


 んんっ?もしや、知ってる?それともVtuberが意外ってか?などと考えていたのだが、彼は一瞬で直してくれた。


「固まったら再起動してみろ。そしたら大抵のことは治る。」


 そうだったんだ⁉知らなかった。


 ちなみに、ミュートにし忘れていたらしい。コメントは案の定大荒れだった。

 あかんやつや。やばい。

 とりあえず彼は隣人と説明しておいた。


 お礼は言ったのだが、上手く声が出ず…。絶対聞こえてないよね?

 明日、学校で言うか。

 次の日、いつも通り学校に行くと、私の親友―山本昭子―が話しかけてきた。


「久しぶり!元気だった?」


「久しぶり。元気だったよ。」


 彼女並みの元気を朝から出すのはほぼ不可能なのである。


「冬休み何してた?」


「勉強。」


 嘘は言ってない。勉強だもん。

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