第九章
ミシェルは、土曜日にアレンのギターを聞きに来ることが多くなった。
「そういえば、ミシェルは将来、何かやりたいこと決まったの?」
弾き終えたギターを仕舞いながらアレンが訊いた。
ミシェルは座って手元の草花を見ていたが顔をあげた。
「私?私はね音楽は聴く専門みたい」
ミシェルの家は両親共に聴く専門の一家だった。
ミシェルは人差し指でアレンの頬を優しくツンと触れた。
「私、医者になりたいの」
「ええ?女の人で医者って凄くない?」
驚いて言うアレンにミシェルは少々頬を膨らませた。
「だって、なりたいって思ったんだもの。別に難病とかスパッと治しちゃうスーパードクターになろうとかじゃないわ。小さな診療所でも患者さんにキチンと向き合う医者になりたいの」
ミシェルの決意は固そうだ。
「じゃあ僕が具合悪くなった時は、治してね」
「なによ。先の話なのに、今から具合悪くなるようなこと言わないで。健康でいてよアレン。医者の世話になんてならない方がいいのよ」
ミシェルが真剣な表情で言った。
「わかったよミシェル。健康に気をつけるよ」
アレンは微笑んだ。
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