第八章
「ねえ、アレン今度、ギター聞かせて。遊びに行ってもいい?」
学校でミシェルが話しかけてきた。
「えっと…まだ聞かせられるほどじゃないから」
アレンは俯き、ぎこちなく答えた。
「ダメ?」ミシェルが俯いたアレンの顔を覗き込んだ。
「うーん…もっと練習してからね」
「いいじゃない、練習しているところも聴きたいもの」
ミシェルは引き下がらない。
まぁ特に絶対にダメだという理由もないし…
「いいよ。いつ来る?」とアレンは答えた。
「やった♪土曜日、学校が終わったら、アレンの家に行くわね」
予鈴が鳴り、ミシェルは嬉しそうに席に戻っていった。
土曜日の午後ミシェルが遊びに来るとアレンは、すぐに裏手の丘に一緒に向かった。
「アコースティックギターは、いつもここで練習しているんだ。天気がいい日だけね」
「そうなんだ♪」ミシェルはグルリと回って周囲を見た。
アレンがチューニングを終えてギターを弾き始めた。
アレンが弾き終えるとミシェルが拍手した。
「凄──い!上手。素敵!なんだか、ここから見える自然の綺麗な景色とピッタリね」
アレンの頬が赤くなった。
ミシェルがヴァーノン邸を見下ろしていた。
「気になっていたんだけど、庭に何か作っているの?」
アレンもミシェルと同じ方向を見つめた。
「ああ、あれね。僕がエレキギターの練習が出来るようにってパパがスタジオを作ってくれているんだ。日曜日しか作業出来ないけど」
「じゃあ今はエレキギターの練習していないの?」と、ミシェル。
「ううん。アンプ通さないで部屋で弾いているよ」アレンはアコースティックギターをケースに仕舞った。
「そうなんだ。ねえ、スタジオ、近くで見てもいい?」
二人は丘を駆け降りていった。
「うわあ───凄い!カッコいい」
外観を見たミシェルが感動している。
「僕も少し手伝っているんだ…本当に少しだけど」
「凄いじゃない!」ミシェルはスタジオの外観を改めて見渡した。
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