第七章
「アレン、来月にローズクラウンというバンドのライヴがあるんだけど行ってみるかい?」父親が提案してきた。
ローズクラウン…この前、中古レコード店の中でオフィシャルビデオが流れていたバンドだ。
アレンがギタリストになりたいと目覚めたキッカケのギタリストのバンドだった。
「うん!行きたい!僕、ママの手伝い沢山するよ」
アレンは目を輝かせて言うと父親は笑った。
「話が早いね。日曜日にチケットが発売するから一緒に買いに行こう」
「うん!」
日曜日、アレンは父親と一緒にチケット売り場に並んだ。頑張って早起きして来たが、すでにかなりの長蛇の列だった。
「まだ、かなり時間かかりそうだね…パパ、サイダー買ってきてもいい?」アレンが父親に訊くと前に並んでいる人物が振り返った。
ロバートだった。
野球帽を目深に被っていた。
「あ、ロバートじゃないか!君もライヴに行くんだね」
アレンは嬉しくなって声をあげた。
「友達かい?」父親が訊き、アレンはギターの弦を張り替えてくれたのがロバートだと紹介して、ロバートはアレンの父親に挨拶した。
「アレンは、お父さんと一緒にライヴに行くんだね。いいな」
ロバートがポツリと言った。
「ロバートは一人で行くの?」
「…うん。ハワードが、うちの執事が送り迎えしてくれるんだ」
ロバートは少し寂しげに言った。
チケットを買い終わるとアレンはロバートに話しかけた。
「ロバートにまた会えて嬉しかったよ。この間うちの前で別れた時、次に会う約束しなかったから、なんかもう会えないのかなって思ってた」
「近所なんだから遊びに来ればいいじゃん」
ロバートが頬を染めて、そっぽを向いて言った。
執事が車を運転して迎えに来たのでロバートはアレンの父親とアレンに挨拶して車に乗って去って行った。
チケットは座席が連番になった。
アレンはライヴの日にロバートにまた会えるのが楽しみになった。
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